3R

3Rってよく見聞きする言葉だと思います。
Reduce, Reuse, Recyclingの三つのRをとって3R。
廃棄物を減らし、再利用し、リサイクルするという意味だそうです。

僕は専門家でも何でもないのですが仕事上の行きがかりから、日本やASEAN各国を含めたこの3R政策を研究するプロジェクトのお手伝いをするようになって2年目になります。3Rはもとより環境政策の先進国である日本をはじめ熱心なタイやフィリピン、シンガポール、マレーシア、そしてインドネシア、ベトナムといった国々からの専門家でワーキンググループを作っています。僕はさしずめその事務局といったところです。

廃棄物と一口にいっても、種類は家庭ゴミから産業廃棄物、それもhazardous waste(有害廃棄物)まで実に幅広く、国によって処理の仕方や法規制の有無、整備状況もまちまちです。informal sectorと呼ばれる中小の無認可業者がdumping(不法投棄)をした結果、環境破壊を招く事例も多数起きているようで、日本も過去の苦い経験に則って、如何にinformal sectorをformalizeしていくか、業界の法制化と企業育成のための制度作りに向けた提言をすることもこのプロジェクトの目的になっています。また近年注目が高まっているrare metal(希少金属)資源の再利用についても、大きな課題のひとつです。といってもこのプロジェクトで取り扱うのは、レアメタル回収・再生利用の技術的な側面ではなく、なかなか見ることの出来ない再生可能資源流通やそこに関わるステークホルダーの実態を調査し、どのようなルール作りや支援を行えばいいのかを探ることです。環境問題、それも廃棄物処理の問題については、従来は一国内の問題として各国別に取組が行われてきましたが、廃棄物や再生可能資源の国境を越えた取引がde factoで進む一方で、中には当然ながらilegalなものもあることからその規制が求められる、また枠組やルールを統一化することで市場としての価値が高まり、結果として業界が洗練され3Rの効能が高まるという期待をこめて、国の枠組を超え地域全体としてこの問題に取り組む必要性があるとの認識から多国籍のワーキンググループが組織されています。

先週インドネシア・ジャカルタで開催された第一回の会合では、会議室でのミーティングはもちろんのこと、郊外の廃棄物処理企業を視察しました。








写真は、視察した三社のうち一番規模の小さな会社の工場の風景です。一社は日系企業がrare metal含みで買収した廃棄物処理企業、もう一社は国内第二位(ドイツに買収されているけど)のセメント会社、そしてこの会社です。
同社は、はじめは↑にもあるようなinformal sectorから出発したそうですが、次々に廃棄物処理の認可を取得し、今では立派なformal sectorの仲間入りを果たした模範的中小企業だということです。この工程ではある日系電機メーカーの工場から出たアルミや亜鉛の屑を集めてきて、不純物を取り除いて成分を純化させる工程を経てインゴット(延べ棒)に成型し、今度はさる日系自動車メーカーに素材として転売するというビジネスモデルを成り立たせています。捨てるしかないゴミが再資源化される、とても美しいモデルです。誰も損する人がいません。しかも古典的な延べ棒作りといえばそれまでかもしれませんが、熟練の技なのでしょうか、キレイなインゴットが次々に成型されていく様はなかなか見ごたえがあります。そして人口大国ならではの、ちゃんとincome distribution。表面をなでて平らにする工員がもうひとり。日本であればさしずめひしゃくの形を工夫して、ひとりの工員が注ぐ工程と表面をならす工程を一工程でやってしまいそうな感じです。

身の回りの話に直結する身近な調査研究ともいえる3Rプロジェクト。もう少し関わり続けそうですので、いろいろと勉強していきたいと思っています。

コメント

  1. こんにちは。廃棄物処理に関しては、日本の「一般ゴミの回収の仕組み」自体をアジアの国々に持っていけると3Rの効率がさらに上がると思います。
    私が今いるアメリカは、分別はほとんどなされていない状況ですが・・・

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  2. はい。その通りですね。リサイクルスキームだけではなくエコタウンや廃棄物や化学物質の規制・管理政策も。

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