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雨・フィレンツェ・ネクタイ

会社のおばちゃんがイタリアはフィレンツェに旅行したとかで、お土産に ネクタイをもらいました。 『雨で大変だったのよー。ベッキオ橋の屋根が雨宿り する人でラッシュ みたいだったわ!!』 とは、おばちゃん談。 数年前のちょうど今ごろ、僕は80人のクライアントを 連れて フィレンツェにいました。 ご存知の通りイタリアに限らずヨーロッパの歴史保全をしている街は 観光名所がある市心まで大型バスが入れないので、数百メートル、 場合によっては1キロ近く離れた駐車場から歩いて向かうことになり ます。 ちょうどその日も雨が降っていて、お年寄りたちを引き連れて ウフィツィに向かってアルノ川沿いを歩きました。 グループの中に一組のご夫婦がいました。 娘さんのウェディングが ちょうどその日にフィレンツェで行われるということで、昼食後に 団体を離れて出席することになっていました。 お父さんは土建屋の社長。パンチパーマに色つき眼鏡のミスター強面・・・。 レストランから挙式が行われる教会までは歩いて10分足らず。 天気がよければなんの問題もありません。 しかしあいにく土砂降りの雨・・・。 新婦のお父さんとお母さんは、レストランからタクシーで教会に 向かおうとしましたが、雨の影響で電話で呼ぼうにも一向に つかまりません。挙式開始時間は刻々と近づいてきます。 僕は意を決して雨中を外に出て、中央広場近くのタクシースタンド まで走りました。傘なんて役に立ちません。案の定、スタンドの前は 雨を避けて移動しようとするお客で長蛇の列。電話で呼べないワケです。 時間がありません。 一番前に並んでいたご婦人に事情を説明し、なんとか列を譲って 頂けないかと頼み込みました。後ろに並ぶ他の客からは訝しげな 視線を浴び、今にも罵声が飛びそうな勢いです。 なんとかご婦人にご理解頂き、携帯で店に待機する同僚へ。 店の前は逆からの一方通行だったため、ご夫婦にこちらまで来て頂く ことに。居並ぶ待ち客からは一斉に冷たい視線。 『これだからジャポネーゼは!』 とでも言わんばかり。 ようやくタクシーに乗り込む直前にご主人が、 『あ!おれネクタイ忘れたっ!』 奥様と僕は一瞬凍った顔で視線を合わせました。 僕はとっさに自分のしていたネクタイをご主人に手渡しタクシーの ドアを閉めて見送りました。 イタリア語の出来ない僕でしたが、タクシーが走