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「グローバル人材」ってどんな人?

昨日、「日本版Gap Year勉強会」なるものに出てきました。KBSのBOPプロジェクトでご一緒しているJICA青さんが発起人である関係でお邪魔しました。200人近い人が参加。盛り上がりました。 Gap Yearとは英国やドイツで事例のある社会的な制度。高校卒業後大学入学前、大学在学中、大学卒業後就職前といった時期に「どこかに所属しない」一定期間のGap Yearを設けて旅行やボランティア、インターンなど若者の自発的な行動を促してそれを社会の制度として認知するもの(その期間好きなことをしたからといって就職など社会制度上不利にならない、差別されない、ということ)だそうです。学生時代にドイツにいたころ、そういえばいろんな人がいたことを思い出しました。僕の「友人」だった大学生達は平均年齢が24~5歳。一番仲が良かった友人はいまでも付き合いがありますが、当時僕より6歳上の「大学生」でした。(ドイツの場合はGap Year以外に大学の制度も日本と異なるのですが) 30分ほど遅刻していったので、到着したときにはすでに始まっていました。発起人の一人であるNRI小林さんのプレゼン。100万人が変わったら日本は変わるかもしれない。「人を変える」のではなく「人が変わる」というコンセプトと理解しました。そのあと15人くらいの今をときめく人たちが思いを語るセッション。とても気持ちの良い時間でした。 会場のどこに座っているかはあまり問題ではなく、響いているかどうかが問題。一番前に座って過分に飲まれちゃう子もいれば、一番隅っこで程よく響いているやつもいるかもしれない。「どう伝わったか」までをコントロールしようとすることは野暮だよね。「どう?俺のやっていることすごいでしょ?すごいよね?楽しくない?なんでわかんないかなぁ、もう!」と聞こえちゃうとちっとも粋じゃない。すごいことをやっている人のコトバは淡々と語っているようで力強く、否応なく響くんだよなぁ・・・。というようなことをつらつらと考えながら聞きました。みんなそれぞれ面白い。 近くに座っていた人たちと話をする時間がありました。要点はふたつ。 1.グローバル人材ってどんな人? 2.我々にとって最も大事なことってなんだろう グローバル人材とは「自分の国について語ることが出来る人」 という人。彼は経験に照らして「『あのとき』出来なかった(から今そう思

希望と背中合わせの絶望

NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見る。 山谷でホスピスを運営する方を取り上げていた。 山谷は父親が炊き出しに行っていたこともあって伝え話としてどんなところだ、とか少なくとも地名としては知っているけれど、実は一度も自分の足で行ったことはない。最寄り駅がどこかも、実は自信がない。東京人として、とても恥ずかしい。 がん治療が奇跡的に成功し、これから闘病していこうというホスピスの入所者について主人公が洩らした一言が印象的だった。 「もう治らない、助からないと思っていたときのほうが(彼は)さっぱりしていた。助かるかもしれない、治るかもしれないと希望を持ったときから悩みが生まれんじゃないか」(一言一句そのままではありません、但し語意はそのままに) 「坂の上の雲」しかり。 病める正岡子規が晩年に至り搾り出すように「生」にしがみついたのも、創作への希望、己のなすべきと信ずることへの希望が絶ち難いほど湧き出で続けていたからだろう。 苦しいまでの悩みや深い絶望は、果たして生まれた小さな希望の裏側にあるものではなかろうか。 今日の午後、ベテランのタイ研究者と、かの国の政治的混乱の要因はつきつめるところなんであるかということについて話をしていた。 タイの政治的混乱は社会構造、ひいては経済構造の問題であり社会階級間の計り知れない格差が要因である。 都市(主にバンコク)に住まう中間層以上の人々と農村(主に北部、東北部)に住まう低所得者層の人々では生活「様式」が違う、と彼は言った。生活「水準」ではない。「様式」そのものが違うという。私も東北部の農村に赴いたことがあり、そのときの記憶をたどる。まさに。 絶対的に覆りようのない格差は人々に希望をもたらさない。主に農民である彼らが農業労働にのみ従事し、情報インフラも未整備だった時代には、そもそも「違う」ということすら十分に認識されていなかったかもしれない。 タクシンはそんな彼らに「夢」を見せた。希望を与えた。実現しない可能性が極めて高かったのは周知だが、タクシンは彼らに「自分たちも首都に暮らす中間層のような生活が出来るかもしれない」と思わせる政策を掲げて選挙に勝った。そのころ彼らはもはや専業農家ではなく、都市に出稼ぎに出て都会の暮らしを自分の目で見ていたし、農村でも都市の様子をブラウン管の小さいテレビで見て知っていた。 「手が届くかもしれない

欧州雑感③英国編

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寒い。一番寒い。セントパンクラスに着いた瞬間に凍りました。 でも寒いロンドンをさくさく歩いてあちこち行くのが好きなので、、、なんてぬるいこと言ってられないくらい今回は寒い!! オックスフォードに向かいます。 途中レディングで乗り換え。ホームで待ってたらたぶん凍死します。 チョコレートで出来た大学の扉。 歴史を感じさせますねぇ。 いや、ウソですよ。 ノーベル賞級の先生とお話ししたり、アフタヌーンティーディスカッションをしたり、とてもステキな時間でした。Migrationの話はどこでも盛り上がるなぁ。やはり欧州の目下最大の課題のひとつは「移民政策」であります。でもやっぱり総じてイギリスのアカデミアはシニカルですね。良い意味で冷ややか。 駅に帰る途中でちょっと寄り道。 ハリー・ポッターの食堂。 この空の色がとってもイギリスって感じを良く出していると思いませんか? 夕食は駐在の同僚が南インド料理屋を手配してくれました。あっちのビール「コブラ」。しかし彼はインドに無事に転任できるんだろうか。数年前からビザが厳しくなっています。 名前とは裏腹に(?)とてもホップが効いていてロースト香もばっちりで、好みの味でした。 一転して翌日は快晴に。その分さらに寒いんだけど・・・。 午前中アポイントまで少し時間があったので、ホテルから近かったサマセットハウスに絵を見に行きました。 ちょうどセザンヌの企画展をやっていたので飛び入り。 中庭ではティファニーが子ども達のためにスケートリンクをこしらえてました。 ウィーンでも市庁舎前のスケートリンクは恒例だけど、博物館とか美術館でコンサートやセミナーやったり、建物や空間の使い方がほんとうに上手だなぁと改めて実感します。フィレンツェで訪問した大学はウフィツィ美術館のホールでアカデミックセミナーやるって言ってたし。アートとの親和性抜群ですよね。 あとは聞いた話として、ロンドンでLSEとかチャタムハウスがやるセミナーって必ずワインが出てソーシャリゼーションするんですって。「話を聞きに来る」というレベルじゃないってことです。仮に日本でそういうセミナーやろうとすると「誰がワイン代出すの?」とかいうみみっちい話に必ずなる。それから司会者のエンターテイナーぶりがすごいらしい。聴講者を楽しませる、楽しく聴かせる、参加させる、という強いコミットメント。彼らがセミナーを

欧州雑感②フランス編

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パリには20時間ちょっとしかいませんでした。夜の7時過ぎにドゴールについて、翌日の夕方5時には北駅からロンドンへ発ってしまったので。それでもやっぱり冬のパリは、好きです。 フランスだけに限ったことじゃありませんが、お犬さまがふつうに電車に乗れます。 この子はエコールミリテールの駅から出てきたコッカースパニエル。実にお尻がふりふりであります。暖かそうであります。アポイントが終わって出発まで時間があったのでいつも行く7区の食料品店にお土産を買いに行ったのですが、なんと閉店しておりました。居抜きで中華料理店になってた・・・。他の支店に行くまでの時間はなくあえなく断念。やっぱり景気悪いのか。 しょんぼり食べたクロックムッシュは、気分がしょんぼりだったせいか、しょんぼりした味でした。 でもほんとにパリで英語が通じるようになりましたね。嫌な顔されないし。 フランスでは拡大する欧州ということで新たにEUに加盟した(する)国々のことをみんながどう捉えているのか、ということについてTrade, Investment, Migrationというような観点からインタビューしました。統一市場という制度の不完全性、統一通貨という制度のデメリット・・・ヨーロッパは実に面白い。

欧州雑感①イタリア編

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今回はローマから入ってフィレンツェ、パリ、ロンドンという、かつての新婚旅行の王道を地でいくようなコースを男性4名で駆け抜けてきました。移動を含めた滞在5日間でインタビューのアポイントは山のよう。実に充実しておりました。 ローマで泊まったホテルはいわゆるリノベーションもののデザイナーズホテルだったのですが、やはりいくところまでいっちゃってます。フロントの上に雲を浮かべる意匠は日本ではちょっとお目にかかれません。 ロビーにはおしゃれな雑誌が並んでいて・・・と思いきやRUNNERS紙が。 イタリアのRUNNERSの表紙はごついお兄ちゃんなんですねー。 日本のランナーズはたいてい見目麗しい女性なんですが・・・。 フィレンツェ郊外まではるばるやってきた欧州の国々が一緒に創った大学。 現役の修道院が一部キャンパスとして使われています。「静寂に包まれます」 柿がなってました。けっこう大ぶりでおいしそう。 新聞の掛け方も、なんだかしゃれています。 一仕事終えて学食でランチ。 昼食を食べるとセガフレードのエスプレッソが無料でいただけます。 トスカーナの荘園領主(?)の邸宅もキャンパスに! 諸々と問題はあるのでしょうが、少なくともこの雰囲気からはアカデミズムに対する高いreputationが感じられます。 今回の出張は欧州の地域統合研究がどのように行われているか、というフレームの話に加えて、統合の深化(非関税障壁をどうするか、とか)について研究者がどうアプローチしているか、ということを探るのが一点。そして、金融危機をはじめとして、各国のナショナルレベルのマクロ経済運営がどう舵取りをしようとしていて、これまた研究者がどんな目で観察し分析しているのか、というのが二点目。いずれもアジアの未来を鑑みる上で大事な視点であります。 イタリア経済は、、、フィアットがセルビアに製造拠点を移しちゃうとかあまり楽観できないみたいですが、なんともこの明るく優しい人びとならなんとか生きて行けちゃうんじゃないか、と幸せな気分になってイタリアを後にしたのでした。 空港に向かうタクシーからみたコロッセオ。やっぱりステキ。塩野七生さんの本読んだことないけどローマ史は好き。特にガリア戦記が好きだったです。

バチカン動物園!

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とっても広いバチカンの「美術館」。 よくよく見るとたくさんの動物が暮らしております。 エジプトの猫さん ギリシャの犬さん 子犬?仔ライオン? えーと、みなさん 偉いライオンさん どなたでしょうか・・・。