意味



木を切って薪を割る。(キャリア20年)

>道具=チェーンソー、斧(大)



草だの竹だのが高さ1mくらい生い茂ってる
荒地を開拓する。
その土地はいずれ米と野菜を生み出す。(キャリア半年くらい)

>道具:草刈機(ドイツ製でいかつい)


バカでかい羽釜で3升の飯を炊く。(キャリア3回目)

>道具:羽釜(直径60cm)、薪、竈


築100年オーバーの古農家を改築して住めるようにする。(初心者)

道具=電ノコ、油圧ジャッキ(4tトラック用)、バール(解体用)、
金尺、電ドリ、木槌(玄能・大)その他たくさん・・・


これが、この連休に僕がやったすべてのこと。
あと飯食って風呂入って酒飲んで若いやつらと少々バカ話して寝る。以上。


たったこれだけ? と思う。ところが、実はこの4つの活動には人間にとって
とても大事なアスペクツがこめられていると思う。


それは人間のプライマリーニーズ(生きるために最低限必要な事柄):
食べ物を食べることと、雨風をしのげる場所で眠ること、を満たすことを
目的とした営みだということ。

なんか一転してすごいことをやってたような気がしてきた。


でも色々な疑問が湧く。


スイッチをひねれば火がつくコンロがある時代にあえて薪を割る意味は
なんなのか。


スーパーで無洗米なるものが買える時代に草刈から始めて米を作る意味は
なんなのか。(そもそもボタンひとつで米が炊ける時代に羽釜で煙モクモク
ってなんて不効率な。)


100年も経ってて床下はボロボロに腐ってて、そもそも全体が傾いてる。
土壁ははがれて柱はグラグラ、あらゆる生物がでかい顔をして跋扈して
いる。そんな古農家を直して住めるようにするなんて意味があるのか。
(壊して新築したほうがなんぼかマシだろう。)


僕自身、オートロックでシステムキッチンで、全自動湯沸し機能がついた
マンションに普段住んでる。
でも生活全体のうち出来たら半分くらいは、「意味」を考えながら生きる
スタイルにしていこうかなと思っている。
ハイテクな道具たちとローテクな道具たちに囲まれながらね。


さて、なぜだろう。


人間が太古から営々と続けてきた生きるための活動の軌跡を、「比較的
便利でハイテクな社会」になった現代日本で生きる僕たちは、どうやって
「リアル」に次の世代へ伝えていくのだろうか。


この命題を解くことが「なぜだろう」の答えになるのだと思うし、自分の
ライフワークの源泉でもある『これから「比較的便利でハイテクな社会」
を目指す人びとがどうやっていけばいい?』という質問の答えにもなる
ような気がする、のです。


僕たちは「比較的便利でハイテクな社会」をよく知っている。
一方で、これからその社会を作ろうとしている人たちは、 薪を割り、
畑の草を刈り、竈で米を炊き、古い家を直して生きている。
自分で同じことをしないんじゃ、彼らのことを少しも分からない。
そんな気も少しする。


とにかくね。
生身の人間が生きるってのはどういうことなのか体を通して知ることが
出来るってのは得がたいものです。


うん、そういうことだ。

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