Delivered a Speech from "Excellency Made in America"

先週土曜日にサントリーホールでオバマさんのスピーチを聴きました。

朝8時の開場と案内されていたので、余裕を持って7時45分に集合!ということにしていましたが、時間を読み過ぎて7時25分にはカラヤン広場に到着しました。
そのときすでにエントランス前には100人を超す列が出来ています。
チケットをまだ受け取っていなかったので、一瞬並ぶことを躊躇。でもどんどん列が長くなっていきます。座席は全て自由席ということだし、雨がひどくなってきたらとても外で待てないし・・・。仲間がひとり来た7時30分のタイミングで意を決してノーチケットのまま列に並びます。屈強なSPにチェックされたら、もうそのときはそのときだ。チケット持ってるCさん、早く来て!!!

約束していた7時45分を過ぎるころには列は長蛇と化してカラヤン広場を埋め尽くしました。



ようやくチケットを持ったCさん到着!この頃にはバッチを付けずに会場に入ろうとしたSPが大使館関係者に軽くたしなめられたりしているのを横目で見つつ、だんだん入り口の警備状況も分かってきて緊張感が高まります。

しかし実にいろいろな人が並んでいます。少し見渡した限りでも著名な政治学者である東大のK教授や、元共同通信記者でTBSなどの報道番組でアンカーも務めるG氏など、VIP対応されてもおかしくない人たちが雨に濡れて並んでいます。と思えばやはり学生さんとおぼしき若い人たちがとても多く招待されていて、なるほどと思わされます。

airport-like security checkをくぐり抜けていざ二階席へ。我々「一般招待」者は一階席には入れません。バルコニーの、それもステージを至近に真横から見られる左側の席へ。近い。とても近い。正面の席も捨てがたいけれど、近さに負けます。
そしてこの位置からは一階のVIP席に座る人たちの様子が手に取るように分かってとてもおもしろい。frontrowには現職閣僚もちらほら。9時過ぎにはほぼ着席完了。スピーチの開始予定は10時。あと1時間ちかく居並ぶ大臣たちを含めて政財界の重鎮たちを待たせるって、やはり大統領は別格ということでしょうか。



入場口で配られたロックスターも顔負けの「大統領パンフレット」を読んでいると弦楽四重奏+クラリネットの余興が。しかも演奏は日本フィル。大統領のプロフィールが写真付きで細やかに描かれた20ページにもおよぶパンフレットですが、カルテットの調べを聴きながらあっという間に時間は過ぎて10時前。一連の「演出」に、さすが。ほとほと勉強になります。
ただ待たせるのではない、待たせている時間をどう使うか。素晴らしい。以前アメリカ系のファンドレイジングパーティーに出たときも似たようなことを感じたのですが、時間と空間の使い方が実に機知に富んでいるということです。そして、写真も録音も、OK。隠すところと敢えて見せて、後で見せびらかして、言いふらして欲しいところをきちんと押さえています。「文化広報戦略」と一口に言えばそれまでですが、これはどうにも。

スピーチの内容自体はいろいろな人がブログに書いていたり、新聞記事やニュースになったりと、いまさらこの(遅い)タイミングで要約するような野暮なことは出来ませんが、自分なりの視点から得たものといえば、スピーチライティングの素晴らしさが挙げられるのかなと思います。
「日本の聴衆」に聴かせるための「日本らしさ」、でも合衆国大統領として聴かせるための「大局観」が普遍としてあり、さらにそれをすべて「オバマらしさ」で包んで解き放つ。democracy, administrationといったブッシュ前大統領が好んで使った言葉が出てこないのもすごく印象的でした。(耳が悪くて聞こえなかっただけかもしれないけど・・・)

スピーチの国アメリカ。日本で「演説の名手」ってあまり聞きませんが、日本のステートメントを効果的に打ち出していく上でも日本人が、日本人のトップが世界の舞台でするスピーチはかなりキーになるな、という認識を改めて強く持ちました。自分が将来「オバマ」になるとはあまり思いませんが、もしかしたら誰かの「スピーチライター」にはなり得るかもしれない。嫌が応にもそのような境遇にこれから先おかれるかもしれずかなり現実的、と考えたとき、これはとても勉強になるな、という当事者意識です。
世界のトップの話を聞いて「素晴らしかった」と思うのは当然なのですが、何か一つでもとってもリアルに感じられることは何かと自分で考えたら、こんなことしか浮かびませんでしたが、それが今の自分の立ち位置だということですね。

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