読書記録 山本正さんが天上からすべてを見ているらしいこと

 米中対立-アメリカの戦略転換と分断される世界 (中公新書)を読みました。日本にいないのでKindleでしたが、今改めてAmazonを見てみたら紙の本は売り切れ出荷待ち?のようで、関心の高さがうかがえます。

内容はことさら私がなにか申し上げることは無いのですが(読める方は絶対読んだ方がいいです)、あとがきで著者の佐橋さんが初めてキッシンジャーに会ったときのいきさつを書かれていました。博士課程の頃に故山本正さんのアシスタントをされていた縁で、とのこと。著者プロフィールを見たら同学年。なるほど、あの頃だと。

佐橋さんと私とは雲泥の差ですが、私が今の仕事をまがいなりにも続けて来られたのは、若かりし頃に山本正さんに掛けてもらった言葉があったから、というのは大袈裟ではないんですよね。「自分がその手に何も持っていなかったとしても、人と人との間に立つチャンスがあるのであれば、君はカタリストになればいい」。まだまだ先行きはながいですし、悩みも迷いもつきないので、つらいときにはいつも立ち戻る「場所」のひとつです。

三極委員会かなにかの会合を特別に見せていただいたときのこと。この本にも再三出てきて、私の世代で国際関係を学んだ人間なら知らない人はいないであろうジョセフ・ナイが「えっ?!そんなところに?」と驚くくらいしれっとそこら辺の椅子に座っているのも驚きでしたが、山本さんが「ヘイ、ジョー!お前もなんか話せよ」かなんかと気さくに声をかけているのを見て、なんともかっちょいいじいさんだなぁ!と。丁々発止っていうんですかね。お歴々を軽々といなしながら議論をリードしていく姿がいまでも目に焼き付いていて、あとがきを読みながら、勝手に親近感を感じつつ、改めて山本さんの偉大さを噛み締めていました。

このしちめんどくさいイスラエル人たちを会議テーブルの向こうに回して、サラッと皿回しができるようになったら、少しは山本さんの言葉に報いることができるかもしれないなとかとか(まったくできるようになる気がしないけども)。

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