4回目の田植え

両親が千葉県はいすみ市榎沢に就農して4年目。

先週の土曜日に4回目の田植えをしました。


一昨年、昨年は荒天で冷たい風と指先を凍えさせる田の水との戦いでしたが、今年は一転して好天に恵まれて田の水も温み、まるでさながら温水プールの中でホット泥パックをしながら田植えをしている気分でした。



緑のあぜ道に縁取られた田んぼは冬の間湛水されていたため保温され生き物が逃げず滋養たっぷり。カエル(全長30㎝もあるウシガエルを筆頭に・・・)ザリガニ、ドジョウ、ヒル、アメンボ、、、名前も分からない大小様々な両生類や昆虫たち。抜けるような青空とのコントラストが実に気持ちよく、労働の疲れを癒してくれます。


友人を中心に10名近い方々に集まって頂いたおかげで順調に作業は進み、無事に目標としていた田んぼ一枚(25m×40mくらいの広さ)を植え終えることができました。田んぼは全部で5枚あり、我が家だけなら米の自給率は400%を超えます。そのため後述するトラストへの賛同者に還元したり、小ロットながら自主流通する販路を模索しています。


両親のファームでは、完全無農薬で出来る限り自然の理に適った農を実践するための土地保全を目指しています。どうやら田んぼの生き物たちのうち「捕食」をする肉食獣たちは常に田んぼにいるわけではなく、ときどき「山」から出てきて、あるいは空から飛んできて「田んぼレストラン」で食事をするようです。そのため田畑だけではなく後背地である「山」も含めて保全管理したい、そんな土地を求めて移住しました。この山の急斜面から大空に飛び出すように作られた「ブランコ」があります。自然との共存の中に人間らしい楽しみ方を合わせて寄り添っていく生き方です。



先述した「冬期湛水」はその手法のひとつです。ふつうの田んぼは冬場に水を抜いて地肌が露出した状態であるため生き物は田んぼから姿を消すか、地面深く潜ってしまいます。春になって苗を植えるときには田んぼの地表はある程度柔らかくないといけませんので、冬の間にがっちり硬く締まった表土を柔らかくするために鋤起こして撹拌し、水を入れた後に地表を平らにする代掻きという工程を経ます。この工程で機械をいれて土を引っかき回すのでますます生き物が死に、あるいは逃げてしまいます。しかし田んぼに水が張っていることで地表の温度が下がらないため、翌年の春から稲が根を張るであろう深さの地表で生物が活動を続けられるので春を待つ間に滋養豊かな土地が(自然と)出来上がる、というわけです。


トラストの詳細
http://kazenotanifarm.blog108.fc2.com/blog-category-9.html

また就農に関心があるが、どうしたらいいか分からない方、実際にやってみたいが農地取得などハードルがあるためすぐには自分で始められない方などが集まって体験しともに学べる場を作っています。

自然農塾
http://kazenotanifarm.blog108.fc2.com/blog-category-8.html


エネルギー自給も大きな課題の一つです。
居宅の電気照明や農耕機材のガソリンなどを使いますのですべてを自給するまでには至っていませんが、例えば温水供給はソーラーと薪ボイラーの二本立て。公共の電気もガスも使いません。台所調理用にコンポスト応用のバイオガスの導入を検討しています。また米穀貯蔵庫には籾殻を格納した超厚型構造壁を基本に放射冷却効果を応用した装置を天井に取り付け、空調管理を電気的、機械的に行わず一定気温、湿度の管理を実現しています。


本当に小さな規模ですが、我が家族にとって、近隣の理解者にとって、そして趣旨に賛同し集まってきて頂ける全ての皆さんにとって大きな試みであり、実験だと思っています。僕も普段は都会暮らしなので、月に1度通えれば良い方ですが、毎日の営みを粛々としている両親(すでに還暦は過ぎてます・・・)に敬意を以てこれからも出来る限り協力していこうと考えています。

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