桜on三陸プロジェクト 第1回東北視察報告①

6月25日払暁。
桜on三陸プロジェクトの田中と吉田は人でごった返す東京駅でうまそうな駅弁を物色していました。

5月のHillsbreakfastで皆さんの前でこの計画をお話ししてから一ヶ月。あらゆる方面からご関心やご支援のお申し出を頂いて参りましたが、肝心の現地のことが分からないとなにも始まらない、東北の人に会って話を聞かせて頂き、僕たちの話を聞いてもらいたい、そんなふうに強く思っていました。

河北新報社の畠山茂陽さんという方を東京でご紹介頂いた僕たちは、畠山さんが25日の午後に仙台市内でBeeBQ(後で説明します・・・)大会を仲間と開催するという情報をキャッチ。人がたくさん集まる機会を逃してはならん!というわけで急遽弾丸トラベラーになることを決めたのです。

始発から午前中一杯は普通車、グリーン車ともに全車満席状態が続く東北新幹線。偶然にも同じ列車の同じ車両に岩手へスタディツアーに向かう「新渡戸国際塾」4期生のみなさんとご一緒しました。吉田が1期生として参加していた国際文化会館のプログラムです。満席の車内で、他の乗客に少々訝しがられながらも桜のチラシをお渡しし、広報活動。岩手での反応を今度聞かせて下さい。

杜の都はあいにくの雨模様。田中は生涯で初めての訪問ということでしたので、まずは土地の神様仏様にご挨拶をせねばなりません。というわけで青葉城趾、瑞鳳寺、瑞鳳殿へ。青葉神社というところもありましたが、どこへいっても正宗公。すごい街です。

仙台市内は宿泊も相当タイトになっているようです。復興関連で全国から人が押し寄せているわけですから、新幹線同様ホテルも混雑するのは当然でしょう。お昼を食べようと入った立ち食い寿司屋にも「ようやく仕事が終わった」と話す晴れやかな顔をしたビジネスマンがチラホラ。聞くところによれば土木や廃棄物処理などの直接的なお仕事に加えて、保険の損害調査などもいまがピークなのではないか、とのこと。タクシーの運転手さんも、「ビジネスマンは仙台を拠点に被災した地区へ動くからタクシーの需要がすごい。毎日のように走っている同僚もいる。」「会社は戦後初めて黒字になったとか冗談ともつかないことを言っている」と。復興特需ではないですが、確かに経済は一時的にかなり沸いている感覚なのでしょうか。それでも街を行き交う人々はいたって平穏そのもの。夜の居酒屋を見ていても、なんら平時の雰囲気です。この後行くことになる石巻や女川の景色は、ここにいてはまったく想像だにできません。

畠山さんとお仲間が集う「BeeBQ」の会場へ。当初は広瀬川の河川敷を予定していましたが、雨模様だったため場所をお店に移しての開催でした。ふつうのBBQと違うところは、食材にBeeつまり蜂蜜をつけて食べてみようという企画。仙台市内でニホンミツバチの養蜂をしている方の産品。瓶の蓋を開けた途端にものすごく濃い香りが鼻腔に充満するくらい濃厚で美味しい蜂蜜でした。参加された皆さん、突然お邪魔してすみませんでした。温かく迎えて頂いてほんとうにありがとうございました。県内外から縁あって仙台に暮らす様々な方が、「荒町」という地区に集うとても良い雰囲気に混ぜて頂けたことは幸せでした。ここで田中が「桜on三陸」プロジェクトについてご説明させて頂きました。

畠山さんに案内して頂き、仙台箪笥の老舗「門間箪笥店」さん、そして染物の老舗「永勘」さんにお伺いしました。どちらも同年代の後継者の方が将来をしっかり見据えていらっしゃいました。単に長い伝統に固執するのではなく、自分たちの世代が新しい部分を付加していきたい、その上で長く続く伝統を未来につないでいきたいと語るみなさん。畠山さんが目指す「地域コミュニティ」のカタチがすこしだけ見えた気がしました。そういえばこころよくお店を開けてくれた「○すけ」さんのキーワードは「守り続けよう−心の触れ合い下町人情」。地元に長く暮らす人もつい数ヶ月前に引っ越してきた人も、みんなで自分が暮らす街に関わっていこう、という強いメッセージです。

僕たちは「桜on三陸」プロジェクトを通じてなにを成したいのか。三陸で流されてしまった「物語」を、桜を通じてより多くの「物語」を集めてつなげていく。そんなことをこれまで申し上げてきました。そしていまここにある「物語」に触れることでより具体的にその想いは強くなってきました。被災地の人々の「物語」と私たちの「物語」を桜を通じてつなげていく。そこに新しいネットワークや交流が生まれ、やがて文化が育まれて100年先までつながっていく。深夜までおいしい東北の日本酒を頂きながらそんな未来を妄想していました。

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