鈍な機械にも五分の魂

一週間ほど前に大家のスティーブがボイラーの交換を決めた。

あさっての火曜日の朝にガス屋が見に来て交換作業の詳細を決めることになった。

最低でも16年かそれ以上の年齢を重ねたボイラー。比較的近い風呂場や洗面は比較的安定的にお湯が出るし、暖房も問題ないのだが、台所の流しはたまにいつまでたっても水しか出ないことがあった。なによりガスの燃焼効率が悪いのか目玉が飛び出るような請求が来たりしていて、これは替えてもらわないと、という状況だった。


それが、交換が決まった途端に、パフォーマンスが良くなったのだ。この一週間と言うもの、ボイラー氏は極めて安定的な給湯を続けている。念のためガスメーターも日々確認しているのだが、(まさに人間スマートメーターである)、ガスを使わなかった日をベースラインとして、そこそこ使った日と比較をしても極端に効率が悪いとは言えない状況である。


交換が決まる前までは、それこそ目玉の飛び出る請求の元となるメーターリードを生み出した元凶のボイラー氏は、自分の寿命が残りわずかであると悟ったいま、現役最後のご奉公と思ってか空前絶後のハイパーパフォーマンスを見せているのである。


いや、冷静に考えれば安定的に低燃費で動く、というのが当たり前なのかもしれないけれど、イギリスに来てからというものすべからく期待値レベルが下がっているので、こんなことでも驚き喜んでしまう。


そして、これは子供のころからつとに感じていたことなのであるが、機械などが交換されることが決まると急に調子が良くなるという記憶がある。機械にも心のあることなのかもしれないなどと思う私はナイーブだろうか。それでもいいと思っている。

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